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眩しさに目を細めたある日。
空が茜色に染まりつつあった。
ふと橋の欄干を覗いたら、川辺に架けられた黒い橋を渡る君を見つけた。
歩くたびに白い柱が錯覚を引き起こして、
まるで昔の画像数の少ない、白黒映画ようにも思えた。
何だか嬉しくて、スキップをしてみたら、君も一緒にスキップをしてくれた。
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雨傘を差したある日。
空が灰色に染まったままだった。
また橋の欄干を覗いたら、真っ暗闇の川辺で橋を渡る君を見失った。
歩くたびに白い柱が錯覚を引き起こして、
まるで電波の繋がらない時の、砂嵐のようだった。
何だか虚しくて、スキップをしてみても、君は見つからなかった。
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水溜まりを歩いたある日。
空が綺麗な蒼と白の模様を作っていた。
ふいに橋の欄干を覗いたら、空に架かった黒い橋を渡る君がいた。
歩くたびに白い柱が錯覚を引き起こして、
まるで空を渡る、どこかの影絵の物語みたいだと思った。
川の水に映った、橋を渡る君の黒をじっと見つめ、目に焼き付ける。
今度は虹の架かった青い、ひどく青い空に送った。
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君と歩いた日も、君がいなかった日も、空の君と歩いた日も、
いつかは、忘れてしまうのかもしれないけれど。
こんな事、くだらないと感じてしまう日がくるかもしれないけど。
そんなことを考えていたら、自分と君の隣を二つの自転車が通っていった。
欄干から目を離し、自転車の通った方向を見てしまった。
その瞬間、君はどんな日でも、当たり前のように姿を消した。
いつも、橋の真ん中に立っているのは自分一人だけだと、分かりたくなくて、
そっと目を瞑り、孤独など知らないフリをした。
欄干に映りゆくもの
今日も一人、またこの橋を渡り、また橋を渡る一人分の影を見つける。
戦いが終わり、沢山の犠牲者が出て、ひと時の平和が訪れる。
そして勝利した者が国の頂点に立ち、新しい国、新しい世界を作る。
けれど、英雄は独裁者へと変わり、そのやり方に不満を持った者が英雄を滅ぼす。
こうしてまた新たな戦が起き、また新たな歴史が生まれる。
私はいくつもの歴史を見てきた。気づいたのだ。
あと何年、人間がこの世界で生きていようが、
大体の行く末は同じなのだ、と。
「神様なんて、残酷だね」
横たわる愛しい人にそう呟いても、答えてはくれなかった。
血の気のない顔、閉じられたままの瞼。
その空間の全てが氷ついたように、とても静かだった。
貴方の存在は僕の中に確かにある。
けれど、僕の存在は貴方の中にはもう無い。
僕に出来るのは、ただ貴方を一方的に思うことだけ。
亡骸になった貴方など見たくはなかったのに。
嘘だ、といって、また笑ってくれればいいのに。
僕の中に残る、貴方の存在は、どうしたらいい?
「神様なんて、残酷だね」
答えてくれる人などいないのに、自然に声に出ていた。
虚しさが押し寄せたのを感じた瞬間
ふと、床が少し濡れているのに気が付いた。
冷たい空気の中、鬱陶しい蝉の鳴き声が
止まった時を、また、ゆっくりと溶かし始めていた。
神様なんて、残酷だね
例えば朝なんて来なければいいのに
醜い自分をさらけ出すのが死ぬ事以上に苦痛で堪らない
求めても届かない光なんて求めたくない
例えば自分なんていなければいいのに
自分の存在について疑問を抱かなくていい
親子や友達なんて言うくだらない言葉で結び付けられなくて済む
例えば生死なんてなければいいのに
生きる苦しみに溺れ続けるのは嫌だ
何時来るか分からない死に怯えていたくない
例えば誰かが殺してくれればいいのに
今夜でさえ生きているかも分からないなら今ここで殺されてしまえばいい
毒殺か刺殺かそれとも焼殺か絞殺か
朝も夜も嫌い
自分も他人も嫌い
死にたくて生きたい
生きたくて死ねない
嗚呼全て無くなってしまえばいいのに
その扉の鍵穴は
既に錆びきっていた。
どんな鍵も拒み、風や光すらも通すことはない扉。
熱く柔らかい砂に埋まりつつある扉は
意味を無くした後も、その場所に存在した。
いつか来るはずの、誰かを待って。
不意に、側にあった振り子時計が
この場所に来てから何千回目かの十時を知らせた。
どれだけ時が過ぎても
時が、その誰かを連れてくる事はなかった。
けれど、扉は待ち続けた。
そして、これからも同じ。
ずっと、待ち続けるのだろう。
その待ち人は、
二度と戻ってくる事は無いと知っていても。
奪われた鍵、閉ざされた扉。